バイノーラル Binaural

バイノーラル(Binaural)とは、広義には「両耳聴」、すなわち左右2つの耳で音を聴くことを意味する。オーディオ分野では、人間の頭部を模した模型(ダミーヘッド)の両耳位置にマイクを内蔵した録音機材で収録した音源を、一般にバイノーラル音源と呼んでいる。

ダミーヘッドを用いると、人間の頭部や耳介(耳たぶ)、肩などによる音の反射や回折、左右の耳に到達する時間差やレベル差まで含めて収録される。そのため、ヘッドホンで再生すると、あたかもダミーヘッドの位置で実際に音を聴いているかのような立体感や方向感を得ることができる。このような高い没入感から、バイノーラルもイマーシブ・オーディオの一種と考えることができる。

一方、ダミーヘッド録音は、録音後に音場を調整しにくいことや、個人ごとの耳の形状の違いによって再現性が変化すること、さらに左右チャンネルに他方の耳の情報が混ざっているため、スピーカー再生では本来の立体感が得られにくいことなどから、音楽制作ではあまり普及しなかった。

しかし近年では、Dolby AtmosやAURO-3Dなどの3Dオーディオ音源を、HRTF(頭部伝達関数)を用いてヘッドホン用のバイノーラル音源へ変換する技術が発達している。Apple Musicの空間オーディオなどでヘッドホン再生時に体験できる立体音響も、このようなバイノーラル化技術が利用されている。