1ならまちスタジオの特徴

信じられる音環境の実現
ならまちスタジオは、イマーシブ・オーディオ制作のためのリファレンススタジオです。その大部分をDIYで構築しました。
エンジニアは演奏者や制作環境の都合により、複数のスタジオを行き来しながら作業することがあります。その際に最も重要なのがモニター環境です。
スピーカーの音質傾向は比較的把握できますが、スピーカー配置や室内音響の影響までは簡単に理解できません。そのため、別のスタジオで制作を続けた際に、思い描いていた音との違いに戸惑うことも少なくありません。
良い作品を生み出すためには、まずモニターを信頼できることが不可欠です。
ならまちスタジオ最大の特徴は、「信じられる音環境」を実現したことにあります。ミキシングや音質評価を安心して行えることが、このスタジオの基盤です。
耳で追い込んだ音響調整
近年は測定器による自動音場補正が一般的になりました。しかし、ならまちスタジオではあえて耳による徹底的な調整を行っています。
自動補正は特定の測定ポイントにおいてフラットな周波数特性を実現できます。しかし、それが必ずしも制作しやすい環境につながるとは限りません。
特にイマーシブ・オーディオ制作では、音像定位や空間再現性の正確さが重要です。測定結果だけでは判断できない要素が多いため、最終的には耳による評価を重視しています。
カルモフォームによる優れた音響性能
ならまちスタジオでは、調音パネルに村松アクア社のカルモフォーム*を採用しています。
カルモフォームは、1kHz以上の吸音率はグラスウールより低い一方で、200〜500Hz帯域において非常に高い吸音性能を持っています。
高域を過度に吸収せず、中域の不要な響きを効果的に抑えることができるため、スタジオやオーディオルームの調音材として極めて優れています。
この調音効果によって、音の細部まで見通せる高い分解能を持つ再生音場を実現しました。
DIYで実現したリファレンススタジオ
ならまちスタジオは賃貸物件のため、壁や天井に釘を打つことができません。
その制約の中で、ツーバイフォー材を用いた突っ張り構造などを採用し、原状回復が可能な方法で音響空間を構築しました。
これから個人スタジオを作りたいと考えているエンジニアの方にも参考となる工夫を数多く取り入れています。
高額な設備投資を行わなくても、信頼できるリファレンス環境を構築することは可能なのです。
認証と評価

こうした取り組みの成果として、ならまちスタジオはGoer Dynamics B.V.(ベルギー)による認証試験に合格し、AURO-3D Certified Studioとして認定されました。
また、その音質については、オーディオビジュアル評論家の麻倉怜士氏、山之内正氏から高い評価をいただいています。
2ならまちスタジオの仕様
| Studio Specifications (Auro-3D Certification) | |
| Formats | Auro-3D 13.1ch, Dolby Atmos 7.1.4 (11.1ch) |
|---|---|
| Monitor Speakers | Genelec 1031A × 7 (for Mid Layer) Genelec 1030A × 6 (for High & Top Layer) Genelec 7060A × 1 (for Sub-Woofer) Eclipse TD-508 Mk3×10 (for Atmos Top Layer) |
| PC | Apple Mac Pro 2019 (for Pro Tools) Apple Mac Pro 2013 (for Atmos Renderer & Monitor Controller) Apple Mac Pro 2008 (for Legacy Pro Tools HD2) HP Z6 (for Sequoia, Pyramix and DaVinci Resolve Studio) |
| I/O | RME MADIface XT, HDSPe MADI FX, UFX+, ADI 642 Ferrofish A32 Mk2 MOTU M64 |
| DAW | Avid / Pro Tools with S2 MAGIX / Sequoia 15 Steinberg / Nuendo 15, WaveLab 13 Black Magic / Davinci Resolve Studio 20 (Fairlight) Pyramix Native (for Import) |
